福祉用具貸与は、介護保険を使って自宅での生活に必要な福祉用具をレンタルできるサービスです。ただ借りればよいというものではなく、本人の身体状況や自宅環境、日々の動作に合ったものを選ぶことが大切になります。
- 福祉用具貸与は、介護保険で福祉用具をレンタルできるサービスです
- 一般的には「福祉用具レンタル」と呼ばれることの方が多いです
- 借りられる品目は決まっており、介護度によって制限もあります
- 福祉用具は、身体状況と自宅での動作に合っているかで選ぶことが大切です
- ケアマネジャーや福祉用具専門相談員、必要に応じて医師やリハビリ専門職の意見も参考になります
- レンタル料金は介護保険の負担割合に応じて決まり、価格にも一定の整理があります
一方で、カタログを見ただけではわかりにくいことも多いため、実際は相談しながら選ぶことが重要です。
福祉用具貸与とはどんなサービスか
福祉用具貸与は、自宅での生活を続けるために必要な福祉用具を、介護保険を使って借りられるサービスです。まず大事なのは、これは単に物を貸す仕組みではなく、自宅で安全に生活しやすくするための支援だということです。
制度上は「福祉用具貸与」と呼びますが、利用者や家族は「福祉用具レンタル」と言うことの方が多いでしょう。現場でも、その言い方のほうが伝わりやすい場面は少なくありません。言い方は違っても、意味としては介護保険を使って必要な福祉用具を借りるサービスのことです。
利用の流れとしては、指定福祉用具貸与事業所からレンタルするのが基本です。購入と違い、その時の身体状況や生活環境に合わせて見直しや交換がしやすいのも特徴です。今の生活に合うものを使い、状況が変われば見直していく。この考え方が福祉用具貸与では大切になります。
利用できる対象者
福祉用具貸与は、要支援1から要介護5までの方が利用できる介護保険サービスです。ただし、介護度によって借りられる品目には制限があります。
要支援1から要介護1の方のように、比較的軽度の介護度では、借りられる品目に制限があります。そのため、制度が使えるからといって、希望する福祉用具が必ず介護保険で借りられるとは限りません。この部分は最初に理解しておいたほうが混乱しにくいです。
レンタルで使う意味
福祉用具をレンタルで使う意味は、その時の状態に合わせて調整しやすいところにあります。身体状況や生活環境は固定されたものではなく、時間の経過とともに変わることがあります。
購入してしまうと合わなくなった時に対応しづらいですが、レンタルなら見直しや交換がしやすくなります。本人の状況や自宅環境が変わった時に調整しやすいのは、福祉用具貸与の大きな利点です。大切なのは、とりあえず借りることではなく、今の生活を支える道具として合ったものを使うことです。
福祉用具貸与は、介護保険で福祉用具を借りられるサービスです。大切なのは、ただ借りることではなく、その時の生活に合うものを選び、必要に応じて見直していくことです。
福祉用具貸与で借りられる品目と注意点
福祉用具貸与で借りられる品目はあらかじめ決まっています。ただ一覧だけを見て判断するのではなく、介護度による制限や事業所ごとの取り扱いの違いまで含めて理解しておくことが大切です。
福祉用具レンタルで対象になるのは、現在は13種目です。ただし、事業所によって取り扱い商品や形式が違うことがありますし、カタログに載っているものがすべて介護保険で使えるわけでもありません。ここは利用者からすると誤解しやすいところです。
レンタル対象の13種目
福祉用具貸与でレンタルできる主な対象は、次の13種目です。
- 車いす
- 車いす付属品
- 特殊寝台(介護ベッド)
- 特殊寝台付属品
- 床ずれ防止用具
- 体位変換器
- 認知症老人徘徊感知機器
- 移動用リフト(つり具を除く)
- 自動排泄処理装置
- 手すり
- ※スロープ
- ※歩行器
- ※歩行補助つえ
※印に関しては「レンタル」か「購入」かを利用者が選択できます。
ここではそれぞれの機能までは細かく広げませんが、まずはこのような種類があると全体像をつかむことが大切です。福祉用具貸与は何でも借りられる制度ではなく、あくまで対象品目の中から、その人に合うものを選ぶ仕組みです。
介護度によって借りられる品目は違う
福祉用具貸与では、介護度によって借りられる品目が変わります。特に要支援1から要介護1の方は、借りられる品目に制限があるため、希望するものがそのまま利用できるとは限りません。
ただし、軽度の方でも、厚生労働大臣が定める条件に適合するなど、一定の要件を満たせば例外的に介護保険でレンタルできる場合があります。このため、介護度だけを見て無理だと決めつけるのも、逆に借りられると思い込むのも避けたほうがよいでしょう。
実際には、自己判断で進めるより、ケアマネジャーに相談しながら確認するのが確実です。利用者側からすると制度がややわかりにくい部分なので、ここは最初から相談前提で考えたほうがスムーズです。
カタログを見ただけで決めないほうがよい理由
福祉用具は、カタログを見ただけで決めないほうがよいです。理由は、見た目や名称だけでは違いがわかりにくく、さらにカタログ掲載の商品がすべて介護保険の対象とは限らないからです。
事業所によって取り扱っている商品や形式が異なることもあります。同じベッドに見えても、高さ調整のしやすさや付属品の違い、手すりの取り付けやすさなど、実際の使い勝手には差があります。利用者や家族だけでそこを判断するのは難しいことが多いです。
そのため、商品選びでは福祉用具専門相談員の説明を受けながら進めることが大切です。福祉用具は、見た目で選ぶものではなく、自宅での生活動作に合っているかで選ぶものだと考えたほうが失敗しにくくなります。
福祉用具は誰と相談して選ぶのか
福祉用具は、一人で決めるものではありません。本人の生活場面や身体状況を踏まえ、ケアマネジャー、福祉用具専門相談員、必要に応じて医師や理学療法士、作業療法士などの意見も参考にしながら総合的に選ぶことが大切です。
福祉用具は生活に直接関わる道具なので、単に商品知識があれば足りるわけではありません。どの場面で困っているのか、何を改善したいのか、どの動作を助けたいのかまで整理しながら選ぶ必要があります。
ケアマネジャーの役割
ケアマネジャーは、福祉用具選びの入り口になることが多い存在です。利用者や家族の相談を受け、生活のどの場面で何に困っているのかを整理し、どのような福祉用具が必要そうかを一緒に考えていきます。
ここで大切なのは、ケアマネジャー自身も福祉用具についてある程度の知識を持っていることです。福祉用具の知識が弱いと、必要な場面が見えにくくなったり、適切な事業所や専門職につなぎにくくなったりします。
また、実務としては地域での評判なども踏まえながら事業所を紹介する流れになります。制度だけを知っていればよいのではなく、実際に相談しやすいか、説明が丁寧かといった点まで含めて考えるのが現場では大事です。
福祉用具専門相談員の役割
福祉用具専門相談員は、指定福祉用具貸与事業所に必ず配置されている専門職です。役割としては、商品の特徴や違いを説明し、利用者が適切な福祉用具を選べるよう支援することになります。
福祉用具専門相談員は、商品について詳しく尋ねても答えられる立場です。ベッドや歩行器、手すりなどがそれぞれどのような特徴を持っているのか、どういう人に向いているのか、価格や機能の違いは何かといったことを説明するのが役割です。
そのうえで、利用者が適切に選べるよう、機能や価格が異なる複数の候補商品について説明することも制度上求められています。つまり、ただ一つの商品を勧めるのではなく、違いを比較しながら本人に合うものを選べるよう支援することが大切です。
医師・PT・OTなどの意見が役立つ場面
福祉用具は生活道具であると同時に、身体機能とも深く関わります。そのため、必要に応じて医師や理学療法士、作業療法士などの意見も参考になります。
特に理学療法士や作業療法士には、安全に使えるかという視点だけでなく、本人の残っている能力を奪わないかという視点があります。便利だからという理由だけで過剰な機能を選ぶと、かえって今できている動作を減らしてしまうこともあるため、この考え方は重要です。
すでにリハビリを受けている方で、福祉用具の利用を考えている場合は、そのリハビリを担当している専門職に相談するのも有効です。普段の動きを見ている人の意見は、実際の使いやすさを考えるうえで参考になります。
福祉用具選びで失敗しないための見方
福祉用具選びで大切なのは、見た目や名称で決めないことです。本人の身体状況、自宅環境、日常動作に合っているかを基準にして選ばないと、使いにくかったり、必要以上の機能に費用をかけたりすることがあります。
福祉用具は、生活目標を実現するための道具です。高機能なものを選べばよいわけでもなく、逆に最低限でよいとも限りません。足りない機能があっても困りますし、不要な機能が多すぎても使いづらくなります。
また、利用する側からすると、実際に使ってみないとわからないことも多いです。そのため、事前確認を丁寧に行い、自分の生活に合っているかをよく考えて選ぶことが必要になります。
ベッド選びで確認したいポイント
介護ベッドを選ぶときは、寝るための道具としてだけ見ないことが大切です。実際には、起き上がる、足を下ろす、立ち上がるという動作まで含めて考えなければなりません。
まず確認したいのは、ベッドの高さが本人の体に合っているかどうかです。高さ調整ができるか、その調整機能が必要かどうかも見ておいたほうがよいでしょう。立ち上がる時に使いづらい高さだと、毎日の動作が負担になります。
さらに、ベッド下の隙間など、立ち上がりやすい構造になっているかも大切です。ベッドは寝るためのものと思われがちですが、実際にはそこから立ち上がるところまで考えるのが当たり前です。ただ、利用者側からすると、その違いは使ってみないとわからないことも多いため、事前確認が必要になります。
寝返りが打てる幅があるかも見ておきたいポイントです。高齢の方は、真上に起き上がるというより、横を向いて足を下ろし、上体を起こすような動作になることが多いです。その時に十分なスペースがあるかどうかで、起き上がりやすさは変わってきます。
手すりがしっかり設置できるかも重要です。転倒防止のための手すりをつけられるタイプか、その時の身体状況に合うかを確認しましょう。「3モーター」などの説明を受けることもありますが、これは足が上がる、上半身が起きるなどの機能がついたものです。こうした機能が本当に必要かどうかを見極めないと、高額なベッドをレンタルしてしまうこともあります。
- ベッドの高さが本人に合っているか
- 高さや背上げなどの調整機能が必要か
- 立ち上がりやすい構造か
- 寝返りが打てる幅があるか
- 起き上がり動作に必要なスペースがあるか
- 手すりが適切に設置できるか
- 3モーターなどの機能が本当に必要か
高性能=正解ではなく、利用する人に合うことが最優先です。
交換や見直しを前提に考える
福祉用具は、一度選んだら終わりではありません。身体状況や生活状況が変われば、見直しや交換を前提に考えるほうが実際の生活には合いやすいです。
福祉用具の交換には、業者側に消毒などの対応が必要になり費用もかかります。そのため、福祉用具専門相談員などが、なるべく長く使える器具を提案してくる可能性はあります。もちろんそれ自体が悪いわけではありませんが、その提案が本人に本当に合っているかは別に考える必要があります。
利用者としては、ケアマネジャーと相談しながら、その福祉用具が自分の生活目標を実現するために適切かを見極めることが大切です。長く使えるかどうかだけでなく、今の自分に合っているかを基準に考えたほうが失敗しにくくなります。
福祉用具貸与の料金と利用時の注意点
福祉用具貸与の料金は、介護保険の負担割合に応じて決まります。以前より価格差は抑えられていますが、利用前に金額や契約条件を確認しておくことは大切です。
レンタル料金は月額で考えることが多いですが、利用開始や終了の時期によって扱いが異なることもあるため、契約前にレンタル業者へ確認しておくと安心です。自己負担額は、介護保険負担割合証に記載された1割、2割、3割の割合で決まります。
具体的な金額は福祉用具貸与事業所に確認することになりますが、ケアマネジャーに聞いて把握することも可能です。利用者からすると料金は気になる点ですが、現在は以前よりも大きな差が出にくくなっています。
利用料金の考え方
福祉用具貸与の自己負担額は、介護保険の負担割合によって決まります。つまり、同じ商品でも、1割負担の方と2割負担の方では支払う金額が変わります。3割負担の方もいます。
料金は原則として月額で考えるのが基本です。ただ、利用開始や終了の時期によっては日割り対応できる場合もあるため、契約時に確認しておくと安心です。細かい条件は事業所によって違うことがあるので、事前確認は欠かせません。
価格差が以前より抑えられている理由
以前は、同じ商品でも事業所によって貸与価格にかなり差があることが現実にありました。利用者からすると、同じものを借りているのに金額が大きく違うという状況はわかりにくく、不公平感も出やすい部分でした。
そのため、介護報酬で価格設定を整理し、さらに2018年度の法改正で、各商品の全国平均貸与価格と設定価格の上限が設けられることになりました。これにより、以前のような極端な価格差は出にくくなっています。
こうした価格は厚生労働省の福祉用具のページでも公表されています。利用者が細かく確認する場面は多くないかもしれませんが、制度として一定の整理がされていることは知っておいてよいポイントです。
まとめ
福祉用具貸与は、介護保険を使って必要な福祉用具をレンタルできるサービスです。ただし、何でも自由に借りられるわけではなく、対象品目は決まっており、介護度によって制限もあります。
また、福祉用具選びでは、見た目やカタログの印象だけで決めないことが大切です。本人の身体状況、自宅環境、日常の動作に合っているかを考え、ケアマネジャーや福祉用具専門相談員、必要に応じて医師やリハビリ専門職の意見も踏まえて選ぶことが失敗しにくい方法です。
レンタルのよさは、その時の状況に合わせて見直しや交換がしやすいことにもあります。大切なのは、福祉用具を借りること自体ではなく、自宅で安全に、無理なく生活しやすくなることです。迷った時は一人で判断せず、まずはケアマネジャーに相談してみるとよいでしょう。
FAQ
福祉用具貸与と福祉用具レンタルは違うのですか
意味としては同じです。制度上の正式な言い方は「福祉用具貸与」ですが、利用者や家族は「福祉用具レンタル」と言うことの方が多いです。現場でも、レンタルという表現のほうが通じやすいことがあります。
要支援1でも介護ベッドは借りられますか
要支援1や要介護1では、借りられる品目に制限があります。そのため、原則として難しい場合がありますが、一定の条件を満たせば例外的に介護保険で利用できることもあります。自己判断せず、まずはケアマネジャーに確認するのが確実です。
福祉用具は高機能なものを選んだほうがよいですか
高機能であればよいとは限りません。大切なのは、その人の身体状況や生活動作に合っているかです。例えばベッドでも、3モーターなど多機能なものが必要な人もいれば、そこまでの機能がいらない人もいます。必要な機能を見極めることが大切です。
福祉用具は誰に相談すればよいですか
まずはケアマネジャーに相談するのが基本です。そのうえで、商品については福祉用具専門相談員、身体機能や動作については医師や理学療法士、作業療法士などの意見も参考になります。必要な視点をつなぎながら選ぶことが、合った福祉用具を使うためのポイントです。