認知症対応型共同生活介護とは?グループホームの対象者・費用・注意点【介護職人が解説】

認知症対応型共同生活介護、いわゆるグループホームは、認知症のある高齢者が少人数で共同生活を送りながら、家庭に近い環境で介護を受ける地域密着型サービスです。

一般的な老人ホームのように「一度入れば必ず最後まで住める場所」と考えると、あとで家族が困ることがあります。グループホームは生活の場であり、認知症の方が共同生活を送るためのサービスだからです。

  • 認知症対応型共同生活介護は、一般的にグループホームと呼ばれる
  • 対象は要支援2から要介護5までの認知症の方
  • 原則として、事業所のある市区町村に住民票がある人が利用する
  • 1ユニット5人から9人の少人数で、家庭に近い環境の中で暮らす
  • 費用は介護サービス費だけでなく、居住費、食費、日常生活費などもかかる
  • 医療連携や看取り対応は進んでいるが、すべての事業所で最後まで住めるとは限らない
  • 利用前には、看取り対応、退去条件、入院時の部屋の扱い、通院対応を確認する必要がある

グループホームを理解するときは、「認知症対応」「少人数」「共同生活」「地域密着型」という4つの視点で見ると分かりやすくなります。

グループホームは、認知症の方が少人数で暮らす地域密着型サービスです。医療施設ではなく、共同生活を支える生活の場として考えることが大切です。

目次

認知症対応型共同生活介護とは、グループホームと呼ばれる地域密着型サービス

認知症対応型共同生活介護は、一般的にグループホームと呼ばれる介護サービスです。認知症のある高齢者が、少人数で共同生活を送りながら、専門スタッフによる日常生活の支援や機能訓練を受けます。

このサービスは、家庭に近い環境の中で、地域住民との交流を保ちながら、本人の能力に応じて自立した生活を営むことを目的としています。2006年度には、これまでの居宅サービスから地域密着型サービスへ移行し、市区町村の管理・監督のもとで運営されるようになりました。

施設数は増えていますが、ここ数年は増加幅が小さくなっています。そのため、利用したいと思っても、地域によっては思うように探せないこともあります。

グループホームは「施設」ではあるが、中心は共同生活

グループホームは入居して生活する場所なので、家族から見ると施設入所のように感じると思います。ただ、サービスの中心にあるのは、あくまでも共同生活です。

食事や掃除などの家事を、本人の状態に応じて一緒に行うこともあります。介護職員が何でも代わりにやるのではなく、できることに注目し、本人の能力に応じた役割を持って生活することが大切にされています。

これは、認知症の方にとって大きな意味があります。今までしていた家事の延長を行いながら介護を受けられるため、急激な環境の変化になりにくく、家庭的な雰囲気の中で過ごしやすい面があります。

もちろん、家庭的な生活が認知症の進行を緩やかにするとは断言はできません。ただ、本人ができることを奪わず、生活の中で役割を持てることは、グループホームの大きな特徴だと感じます。

利用できるのは要支援2から要介護5まで

グループホームを利用できるのは、要支援2から要介護5までの認知症の方です。要支援1は対象に含まれません。

また、利用には認知症の医師の診断書が必要になります。さらに、地域密着型サービスであるため、原則として事業所のある市区町村に住民票があることも条件になります。

ここは、家族が意外と見落としやすい部分です。単純に「空いているグループホームを探せばよい」という話ではなく、住んでいる市区町村で利用できるかどうかが大きく関わります。検討する場合は、早めに地域包括支援センターや担当ケアマネジャーへ相談した方が現実的です。

グループホームの生活は1ユニット5人から9人の少人数で行われる

グループホームの大きな特徴は、1ユニット5人から9人の少人数で生活することです。少人数だからこそ顔なじみの関係ができやすく、認知症の方にとって落ち着きやすい環境になりやすい一方で、人間関係の影響も受けやすくなります。

グループホームは、1つの共同生活住居を1ユニットとして運営します。事業所には複数のユニットが設けられることもあります。現在は、1事業所あたり原則3ユニットまでの運営が前提とされています。

居室は原則個室で、広さは7.43平方メートル以上、和室でいえば4.5畳以上とされています。使い慣れた家具を持ち込める場合もあり、自分の部屋という感覚で過ごしやすい環境になっています。

共有スペースには、居間、食堂、台所、浴室などがあり、ほかの利用者やスタッフと関わりながら生活します。避難訓練などで地域住民が参加し、一緒に行うような場面もあり、地域に開かれた運営が求められています。

少人数だから顔なじみの関係ができやすい

少人数で生活する良さは、顔なじみの関係ができやすいことです。毎日まったく違う人に囲まれるわけではなく、同じ利用者、同じ職員と関わる時間が多くなります。

認知症の方にとって、環境の変化は大きな負担になることがあります。その点、グループホームでは、日々の生活リズムや関わる人が大きく変わりにくいため、安心感につながりやすい面があります。

昨日今日で違う人がいるという環境ではなく、なじみの関係の中で過ごせる。この点は、認知症の方にとって大きなメリットだと思います。

少人数だから合わない人がいると負担になることもある

一方で、少人数であることはデメリットにもなります。合わない利用者がいた場合でも、毎日顔を合わせることになるからです。

グループホームは共同生活の場です。利用者同士の相性や生活リズムの違いが、本人の負担になることもあります。少人数だから安心しやすい反面、距離を取りにくいという面もあります。

また、ほかの利用者への暴力行為や激しい自傷などがあり、共同生活の継続が難しいと判断される場合は、入居の継続が困難になることもあります。なじみの関係ができる良さと、逃げ場が少ない難しさの両方を見ておく必要があります。

グループホームで受けられる介護内容と人員配置

グループホームでは、食事、入浴、排泄などの介助だけでなく、レクリエーション、機能訓練、家事の役割づくりなど、生活全体を支えるケアが行われます。

認知症対応型のサービスであるため、人員配置や管理者の要件にも基準があります。単に生活を見守るだけではなく、認知症の方が少人数の共同生活を続けられるように支えるサービスです。

  • 日中:利用者3人に対して介護従事者1人以上
  • 夜間:基本的にはユニットごとに夜勤職員を配置
  • 計画作成担当者:事業所ごとに1人以上(担当者のうち、最低1人は介護支援専門員の資格が必要)
  • 管理者:3年以上の認知症介護経験と、所定研修の修了が必要

グループホームの介護内容は生活全体を支えるもの

グループホームで行われる介護は、食事介助、入浴介助、排泄介助だけではありません。日常生活の援助、レクリエーション、機能訓練、掃除や食事準備など、生活そのものを支える内容になります。

大切なのは、本人にできることがあれば、その力を活かすことです。何でも職員が代わりに行うのではなく、本人の能力に応じた役割を持てるように関わります。

あくまでも共同生活なので、至れり尽くせりの介護を受ける場所というより、支援を受けながら生活を続ける場所と考えた方が近いと思います。本人が社会的な役割や生きがいを感じられることも、グループホームの良さの一つです。

認知症に対応するための人員配置と管理者要件がある

グループホームでは、日中は利用者3人に対して介護従事者1人以上が必要です。夜間も基本的にはユニットごとに夜勤職員が配置され、24時間体制でケアを行います。

計画作成担当者は事業所ごとに1人以上配置され、最低1人は介護支援専門員、つまりケアマネジャーの資格を持っている必要があります。ケアプランに沿って、認知症の方の生活をどう支えるかを考える役割です。

管理者についても、3年以上の認知症介護経験があり、厚生労働大臣が定める研修を修了していることが求められます。認知症対応型のサービスなので、BPSDと呼ばれる認知症特有の症状に対しても、理解を持った対応が期待されます。

空きがある場合には、一定の基準を満たすことで、30日以内の短期利用ができる場合もあります。いわゆる宿泊を伴う短期利用ですが、すべての事業所で必ず行っているわけではないため、必要な場合は確認が必要です。

グループホームの費用は介護サービス費以外も確認が必要

グループホームの費用は、介護サービス費だけで判断してはいけません。居住費、食費、日常生活費、おむつ代なども必要になり、さらに医療連携や看取り対応などの加算がかかる場合もあります。

介護サービス料金は、ユニット数などによっても変わります。1ユニットか、2ユニット以上かによって料金が異なるため、利用を考えるときは月額の総額で確認することが大切です。

グループホームの費用は、介護サービス費だけではなく、生活にかかる実費も含めて考える必要があります。

居住費・食費・日常生活費は施設ごとに違う

グループホームでは、介護サービス費のほかに、居住費がかかります。これは部屋代にあたるものです。さらに、食費、日常生活費、おむつ代なども必要になる場合があります。

これらの金額は、事業所ごとに違います。同じグループホームというサービスでも、居住費や食費の設定によって月額の負担は変わります。

そのため、料金表を見るときは、介護保険の自己負担分だけでなく、実際に毎月どれくらいかかるのかを確認する必要があります。家族としては、「最終的な月額はいくらくらいになるのか」を聞いておいた方が分かりやすいです。

医療連携や看取り対応で加算がかかる場合がある

近年は、グループホームでも医療連携や看取り対応が重視されるようになっています。その体制に応じて、医療連携体制加算、認知症専門ケア、看取り対応などの加算がかかる場合があります。

加算というと費用面だけの話に見えるかもしれませんが、実際には、その事業所がどこまで対応できるかにも関わります。看取りまで対応しているのか、医療機関との連携がどの程度あるのかは、費用とあわせて確認したいところです。

グループホームは医療対応や看取りで事業所差が出やすい

グループホームは生活の場であり、医療施設ではありません。そのため、医療連携や看取り対応が進んでいても、すべての事業所で医療度の高い方を最後まで受け入れられるわけではありません。

ここは、家族にとって特に重要なポイントです。グループホームに入居できたとしても、そこがそのまま次の住処になるとは限りません。利用前には、どの状態まで対応できるのかを具体的に確認する必要があります。

  • 看取り対応をしているか
  • 医療度が高くなった場合、どこまで対応できるか
  • どのような状態になると退去の可能性があるか
  • 長期入院時に部屋をどのくらいの期間、確保してくれるか
  • 通院の送迎や付き添いに対応しているか
  • 訪問看護との連携体制があるか

グループホームは必ずしも終の棲家ではない

グループホームを検討するとき、家族にとって大きな関心事になるのは、「ここが次の住処になるのか」という点だと思います。

しかし、グループホームは必ずしも終の棲家とは限りません。生活の場であり、認知症の方が共同生活を送るためのサービスです。常に高度な医療処置が必要になった場合や、共同生活を続けることが難しくなった場合には、退去が必要になることがあります。

たとえば、胃ろうや頻繁な吸引など、日常的に医療的な対応が必要になる場合は、そのまま住み続けることが難しいケースもあります。また、寝たきりになった場合や、ほかの利用者への暴力行為、激しい自傷などがある場合も、入所の継続が難しいと判断されることがあります。

入居できたことだけで安心するのではなく、「どの状態まで対応してくれるのか」を最初に確認しておくことが大切です。

看取り対応は増えているが、事業所ごとの差が大きい

僕が介護の世界に入ったころ、グループホームは今ほど「看取りまで行う場所」というイメージではありませんでした。認知症の方が家庭的な雰囲気の中で共同生活を営む場所という印象が強く、医療的なケアが必要になると退去せざるを得ないケースも多くありました。

その後、2009年(平成21年)に介護報酬で看取り介護加算が創設されました。これは、グループホームで看取りを行うことが現実的に位置づけられた大きな流れだったと感じています。

それを境に、少しずつグループホームでも看取りまでという考え方が広がっていきました。現場で働く中でも、グループホームに入所したら看取りまでと考える人が増えてきた実感があります。

ただし、すべてのグループホームが看取りに対応しているわけではありません。看取りまで対応してくれる事業所もあれば、寝たきりになったり共同生活が難しくなったりした場合に退去が条件になっている事業所もあります。

だからこそ、「看取り対応あり」と書かれているかどうかだけでなく、実際にどのような状態まで対応しているのかを確認する必要があります。

訪問看護や主治医との連携が必要になることもある

近年は医療連携が強化されており、グループホームの入居者が訪問看護を利用する場合もあります。ただし、介護保険で利用する場合と、医療保険で利用する場合では条件が異なります。

介護保険の訪問看護を利用する場合は、グループホームと訪問看護ステーションの契約が必要になります。グループホームが医療連携体制加算を算定し、訪問看護ステーションに支払う形が取られることがあります。

一方、医療保険の訪問看護を利用する場合は、特別訪問看護指示書の期間や、がん末期、厚生労働大臣が定める疾病など、一定の条件があります。どちらの場合でも、主治医との連携は欠かせません。

医療連携という言葉だけで安心するのではなく、そのグループホームが実際にどこまで対応できるのかを確認することが重要です。

グループホームを選ぶときは地域・医療・相性を必ず確認する

グループホームを選ぶときは、建物の雰囲気や空き状況だけで判断しない方がよいです。地域密着型サービスとして利用できるか、医療対応はどこまで可能か、共同生活の相性はどうかを確認する必要があります。

まずは、地域包括支援センターや担当ケアマネジャーに相談し、そのうえで実際に施設を見学する流れが現実的です。見学では、施設のきれいさだけでなく、利用者同士の雰囲気や職員の声かけ、説明の具体性も見ておきたいところです。

住んでいる市区町村にグループホームがない場合もある

グループホームは地域密着型サービスです。そのため、原則として住民票のある市区町村の事業所を利用します。

ここで注意したいのは、すべての市区町村にグループホームがあるわけではないということです。実際に、僕が働いていたデイサービスでも、グループホームを探していた利用者がいました。

その方は、グループホームが決まればデイサービスからグループホームへ生活の場を移す予定でした。ところが、探してみると、その方が住んでいる市区町村にはグループホームが一軒もありませんでした。

そのため、近隣のグループホームを例外的に利用できるかどうか、ケアマネジャーが検討していました。しかし、市区町村が違えば、近隣の自治体が必ず受け入れなければならないわけではありません。地域密着型サービスは、本来その市区町村に住んでいる高齢者に使ってほしいサービスだからです。

結果として、その方はグループホームではなく、お泊まりデイサービスを利用し続けることになりました。このように、グループホームは「探せば必ず近くにある」とは限りません。地域差も含めて考える必要があります。

見学では雰囲気だけでなく退去条件まで確認する

グループホームを見学するときは、雰囲気が良いかどうかだけでなく、退去条件まで確認しておくことが大切です。

特に確認したいのは、看取りケアをしているか、医療度が高くなった場合にどうなるか、どのような状態になると退去の可能性があるかです。聞きにくい内容かもしれませんが、最初に確認しておかないと、あとで家族が困ることがあります。

入院が必要になった場合に、どのくらいまで部屋を確保してくれるのかも確認しておきたいところです。長期入院になると退去扱いになるのか、通院時の送迎や付き添いはどうなるのかも、事業所によって対応が違います。

グループホームは、認知症の方が穏やかに暮らす第二の我が家になり得る場所です。ただし、合うかどうかは本人の状態や事業所の方針によって変わります。だからこそ、空き状況だけでなく、実際の生活の場として合うかどうかを見て判断する必要があります。

まとめ

認知症対応型共同生活介護は、一般的にグループホームと呼ばれる地域密着型サービスです。要支援2から要介護5までの認知症の方が、少人数で共同生活を送りながら、家庭に近い環境の中で介護を受ける場所です。

グループホームの良さは、顔なじみの関係ができやすく、認知症の方が落ち着いて生活しやすいことです。家事や役割づくりを通して、本人のできることを活かしながら暮らせる点も大きな特徴です。

一方で、共同生活が前提になるため、人間関係の相性や医療対応には注意が必要です。医療度が高くなった場合や、共同生活が難しくなった場合には、退去が必要になるケースもあります。

グループホームは、認知症の方にとって第二の我が家になり得る場所です。ただし、すべての事業所が看取りまで対応できるわけではないため、利用前には看取り対応、退去条件、入院時の扱い、通院対応まで確認しておくことが大切です。

検討する場合は、まず地域包括支援センターやケアマネジャーに相談し、実際に施設を見学して、本人に合う生活の場なのかを確認してから判断するのが現実的です。

よくある質問

グループホームは要支援1でも利用できますか?

グループホームは、要支援1では利用できません。対象になるのは、要支援2から要介護5までの認知症の方です。

また、認知症の医師の診断書が必要になります。地域密着型サービスのため、原則として事業所のある市区町村に住民票があることも条件になります。利用を考える場合は、早めに地域包括支援センターやケアマネジャーに相談するとよいです。

グループホームは一度入れば最期まで住めますか?

必ず最期まで住めるとは限りません。看取り対応をしているグループホームもありますが、すべての事業所が対応しているわけではありません。

医療度が高くなった場合、寝たきりになった場合、共同生活が難しくなった場合などは、退去が必要になることもあります。利用前には、看取り対応の有無だけでなく、どの状態まで対応できるのかを具体的に確認することが大切です。

グループホームは住んでいる市区町村以外でも利用できますか?

グループホームは地域密着型サービスのため、原則として住民票のある市区町村の事業所を利用します。

住んでいる市区町村にグループホームがない場合でも、近隣市区町村の事業所を簡単に利用できるとは限りません。自治体や事業所の判断が関わるため、まずはケアマネジャーや地域包括支援センターに相談する必要があります。

グループホームでは訪問看護を利用できますか?

グループホームでも、訪問看護を利用できる場合があります。ただし、介護保険で利用する場合と医療保険で利用する場合では条件が異なります。

介護保険の訪問看護では、グループホームと訪問看護ステーションの契約が必要になります。医療保険の場合は、特別訪問看護指示書の期間や、がん末期、厚生労働大臣が定める疾病など、一定の条件が関わります。いずれの場合も、主治医との連携が必要です。

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