令和8年度 第1回 介護情報基盤に係る自治体説明会|事業所が押さえたい準備【介護職人が解説】

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介護保険の資格や要介護認定、ケアプランなどの情報は、これまで自治体や介護事業所、医療機関の間で、紙や個別の連絡を通して受け渡されてきました。その流れを電子的につなぐために整備が進んでいるのが、介護情報基盤です。

2026年7月に行われた厚生労働省の自治体説明会では、自治体ごとの移行時期、事業所が利用する介護WEBサービス、二つの本人確認方法、オンライン申請や助成制度など、実際の運用に近い内容まで示されました。

介護情報基盤は、まだ多くの事業所にとって日々使っている仕組みではないと思います。ただ、接続環境の準備や助成申請はすでに始まり、自治体側の移行予定も具体的になっています。知らないままでも困らなかった段階から、情報を追って準備する段階へ進んでいます。

制度の細部は今後も変わります。だからこそ、現在決まっている内容を一度整理したうえで、事業所の中で誰が情報を追い、どこまで準備しておくのかを考える必要があります。

目次

介護情報基盤はどこまで進んでいるのか

介護情報基盤という名称だけでは、事業所の仕事とどこでつながるのか見えにくいかもしれません。まずは、何が変わり、いつ頃から実際の運用に入るのかを整理します。

変わるのは介護情報が届くまでの経路

介護情報基盤では、介護保険証等情報、要介護認定情報、住宅改修費利用等情報、ケアプラン情報などを電子的に共有します。事業所は介護保険資格確認等WEBサービス、いわゆる介護WEBサービスを通して必要な情報を確認します。

これまでも介護事業所は、利用者の氏名や住所、被保険者番号、介護度、既往歴などを扱ってきました。今回初めて個人情報を共有するわけではなく、紙やケアマネジャーを介して受け取っていた情報の経路が変わります。

認定結果やケアプランを確認するために連絡し、返事や書類を待つ時間が減れば、必要な作業へ進みやすくなります。新しい情報が増えること以上に、必要な情報へ事業所側から到達できることに意味があります。

自治体ごとに異なる開始時期

介護情報基盤は、準備が整った自治体から順次利用が始まり、国は2028年4月1日までに全市町村での活用開始を目指しています。全国で同じ日に紙からデジタルへ切り替わる仕組みではありません。

2026年7月10日時点では、2028年4月までの移行を予定する自治体は1,545市町村で、全体の88.7%です。被保険者数では約2,627万人、73.2%となっており、自治体によって準備の進み方に差があります。

複数の市町村の利用者がいる事業所では、移行済みの保険者と従来の手続きが残る保険者が並ぶ期間も生じます。オンラインの認定申請でも、被保険者証の原本提出を省略できるかは保険者が判断するため、同じ申請でも扱いが分かれます。

紙とデジタルが並ぶ移行期

介護情報基盤が始まっても、紙の介護保険被保険者証は当面残ります。本人確認もマイナンバーカードだけに統一されず、被保険者証の情報を入力する方法が用意されています。

紙が残ることをどう捉えるか

介護サービスを利用する高齢者の中には、マイナンバーカードを持っていない人もいます。認知症が進み、本人が新たに取得手続きをすることが難しい場合もあるため、ある日からカードだけに切り替えることは現実的ではありません。

僕は、紙が残ること自体を良いとも悪いとも考えていません。将来は紙を減らす方向へ進むとしても、利用者や事業所の準備を考えれば、両方を使える期間を置くのは制度移行では自然な判断です。

事業所の実務では、デジタル化が始まった後もしばらくは、利用者や保険者に応じて手続きが分かれます。紙とデジタルのどちらが優れているかではなく、移行中の運用を混同しないことが大切です。

二つの本人確認方法が必要な理由

介護WEBサービスへ利用者を登録する方法には、マイナンバーカードの読み取りと、被保険者証にある4情報の入力があります。カードリーダーの導入は必須ではなく、カードを持たない利用者にも対応できます。

入所施設では、入所時に家族とカードを確認し、施設内の端末で読み取る流れを作りやすいでしょう。一方、通所介護では家族が事業所へ来ない場合も多く、カードの持参や保管まで考えると4情報入力の方が扱いやすい場面があります。

マイナンバーカードを使えば入力間違いを減らせますが、必ずしも事務作業が楽になるとは限りません。どちらか一つを事業所全体の正解にせず、サービス形態と利用者の状況に応じて選ぶことになります。

事業所が先に整えておく運用体制

利用者ごとの登録方法より先に考えておきたいのが、介護WEBサービスへ接続する環境と、事業所内で情報を追う人です。仕組みを知っていても、担当が曖昧なままでは準備が進みません。

介護WEBサービスを使い始めるまでの準備

介護WEBサービスを利用する端末には、電子証明書の導入と環境設定が必要です。既存の介護保険証明書を利用できる場合と、介護DX証明書を申請する場合があり、事業所の状況に応じて手順が分かれます。

設定を業者へ依頼する事業所もあると思います。ただ、接続だけを業者に任せ、事業所内の誰も操作を理解していなければ、その後の利用へつながりません。設定と日々の運用を分けて考える必要があります。

介護情報基盤が始まってから慌てて調べるのではなく、利用する端末、必要な証明書、設定を自分たちで行うのかを先に確認しておく。介護ソフトの事業者へ支援内容を確認することも含め、接続までの道筋を把握しておけば、自治体の開始時期が決まった後の動きは変わります。

情報を追う担当者と操作できる人

介護情報基盤に関する情報は、事務担当者だけが把握していればよいものではありません。実際の利用は管理者や生活相談員など、利用者情報と事業所運営の両方を理解する人が関わることになると思います。

僕なら、一つの事業所で少なくとも二人は操作を理解できる状態にします。一人だけでは、休職や急な退職があったときに運用が止まる可能性があり、引き継ぎのないまま制度対応だけが残ってしまうからです。

誰が新しい情報を確認し、誰が実際に操作するのかを分けておけば、一人へ仕事が集中することも避けられます。担当を決めるのは制度上の利用条件ではなく、事業所の準備を止めないための運営上の判断です。

助成制度を生かすための情報収集

令和8年度には、介護情報基盤への接続支援やカードリーダー購入に対する助成があります。使える制度があっても、存在や申請条件を知らなければ、事業所は利用できません。

一回の申請でどこまで準備するのか

助成申請はサービス種類ごとに一回限りです。先に接続支援だけを申請し、後からカードリーダーも必要になったため追加申請するという使い方はできません。

申請前には、カードリーダーを導入するのか、端末設定を自分たちで行うのか、外部の支援を利用するのかを考えます。助成があるという理由だけで、使う予定のない機器まで購入する必要はありません。

また、助成は予算額に達した場合、受付が終了する可能性があります。開始時期だけを待つのではなく、今使える支援と申請条件を確認しておくことが、余計な支出や申請機会の取りこぼしを防ぎます。

変わり続ける情報を誰が拾うのか

現時点で、既存利用者の誰にマイナンバーカードを使ってもらうかまで急いで決める必要はないと思います。まず必要なのは、接続環境を整え、関係する自治体の開始時期と今後の案内を追える状態にすることです。

介護の制度対応では、国の説明が出た後も、手順や開始時期、支援内容が具体化していきます。何となく誰かが確認するだろうという状態では、必要な準備が遅れ、利用できた助成を逃すこともあります。

介護情報基盤は、まだ先の話として置いておく段階ではありません。事業所として仕組みを捉え、情報を追う人と操作する人を決め、変化に合わせて準備を進める。その入口に、今は立っていると思います。

参考:厚生労働省「令和8年度 第1回 介護情報基盤に係る自治体説明会」厚生労働省「介護情報基盤について」介護情報基盤ポータル「令和8年度助成金申請の手引き」

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