介護保険には、自宅で受けるサービス、施設へ通って利用するサービス、施設に入所して生活するサービスなど、さまざまな介護サービスがあります。
訪問介護やデイサービス、ショートステイ、特別養護老人ホームなど、名前を聞いたことがあるサービスでも、それぞれの役割や違いまでは分かりにくいことがあります。
この記事では、介護保険で利用できる主な介護サービスの種類と特徴を、居宅介護サービス・施設サービス・地域密着型介護サービスなどに分けて紹介します。
各介護サービス名から詳しい解説記事も確認できます。介護サービス全体を知るための入口として参考にしてください。
介護サービスの種類と全体像
介護保険制度には、自宅を訪問して支援するサービスや、施設へ通って利用するサービス、施設に入所して生活を支えるサービスなど、利用者の暮らし方や状態に応じたさまざまな介護サービスがあります。
それぞれのサービスは、支援する場所や目的、利用する人の状態などによって役割が異なります。まずは、介護サービスが制度上どのように分けられているのかを見ていきます。
介護保険サービスは「介護給付」と「予防給付」に分かれる
介護保険のサービスは、大きく「介護給付」と「予防給付」に分けられています。このほか、居宅介護(介護予防)住宅改修や介護予防・日常生活支援総合事業などもあります。
介護給付は要介護1〜5の方、予防給付は要支援1・2の方が利用するサービスです。両方に共通するサービスも多くありますが、この記事では介護給付を行う主なサービスを中心に紹介します。
介護サービスには都道府県系と市町村系がある
介護サービスは、どこが指定・監督しているかによっても分かれています。都道府県・政令市・中核市が指定するサービスと、市町村が指定するサービスがあり、それぞれに位置づけられるサービスが異なります。
都道府県などが指定するものには、居宅介護サービスや施設サービスがあります。一方、市町村が指定するものには、地域密着型介護サービスや居宅介護支援などがあります。
ここからは、それぞれの区分ごとに主な介護サービスを紹介します。
居宅介護サービスの種類と特徴
自宅や高齢者向けの住まいなどで生活する方を支えるのが、居宅介護サービスです。自宅を訪問して支援するもの、施設に通って利用するもの、短期間だけ施設に泊まるものなど、さまざまなサービスがあります。
訪問系サービス
訪問系サービスは、利用者の自宅を訪問して支援を行うサービスです。
訪問介護は、ホームヘルパーなどが利用者の自宅を訪問し、食事や排泄、入浴などの身体介護や、掃除、洗濯、調理などの生活援助を行うサービスです。
訪問看護では、看護師などが自宅を訪問し、健康状態の確認や療養上の世話、必要な医療的ケアなどを行います。
訪問入浴介護は、自宅での入浴が難しい方に対して、専用の浴槽を持ち込んで入浴を支援するサービスです。
訪問リハビリテーションでは、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などが自宅を訪問し、日常生活に必要な動作の練習や機能の維持・回復を支援します。
居宅療養管理指導は、医師や歯科医師、薬剤師などが自宅を訪問し、療養生活を送るために必要な管理や助言を行うサービスです。
通所系サービス
通所系サービスは、利用者が日帰りで施設に通って受けるサービスです。
デイサービスでは、食事や入浴などの介護、機能訓練、レクリエーション、送迎などを行います。日中を施設で過ごすことで、利用者の在宅生活を支えるとともに、家族の介護負担を軽減する役割もあります。
デイケアは、正式には通所リハビリテーションと呼ばれるサービスです。施設へ通って利用しますが、医師の指示のもとで行われるリハビリテーションを中心としており、理学療法士や作業療法士などの専門職が関わります。
短期入所サービス
短期入所サービスは、利用者が短期間だけ施設に泊まり、介護や日常生活上の支援を受けるサービスです。
家族が休息を取りたいときや、冠婚葬祭、入院などによって一時的に在宅での介護が難しくなったときなどに利用されます。一般的には、ショートステイと呼ばれています。
短期入所生活介護は、特別養護老人ホームなどに短期間入所し、食事や入浴、排泄などの日常生活上の介護を受けるサービスです。
短期入所療養介護では、介護老人保健施設などに短期間入所し、介護に加えて医療的な管理やリハビリテーションなどを受けます。
その他の居宅介護サービス
訪問、通所、短期入所以外にも、在宅生活を支える居宅介護サービスがあります。
福祉用具貸与と特定福祉用具販売は、生活や介護に必要な福祉用具を借りたり購入したりするためのサービスです。利用者の状態や生活環境に合った福祉用具を取り入れることで、日常生活の負担を減らし、安全な生活を支えます。
特定施設入居者生活介護は、介護保険の指定を受けた有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などに入居している方が、介護や日常生活上の支援を受けるサービスです。
居宅介護サービスは、一つのサービスだけを利用するとは限りません。利用者や家族の状況に合わせて、訪問介護やデイサービス、ショートステイ、福祉用具などを組み合わせながら在宅生活を支えます。
施設サービスの種類と特徴
施設サービスは、利用者が施設に入所し、介護や医療、リハビリテーションなどを受けながら生活するサービスです。
介護保険の施設サービスには、介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院があります。それぞれ入所する目的や対象となる方、受けられる支援が異なります。
介護老人福祉施設の役割と特徴
介護老人福祉施設は、特別養護老人ホーム、いわゆる特養と呼ばれることが多い施設です。
原則として要介護3以上の方が対象となり、自宅で生活を続けることが難しくなった方が入所して生活します。
食事、入浴、排泄などの日常生活上の介護を受けながら生活する施設で、長期間入所する方も多く、看取りに対応している施設もあります。
介護老人保健施設の役割と特徴
介護老人保健施設は、老健と呼ばれる施設です。
病院を退院したあと、すぐに自宅へ戻ることが難しい方などが入所し、在宅復帰を目指してリハビリテーションや介護、医療的な支援を受けます。
医師、看護職員、リハビリ専門職、介護職員などが連携しながら支援を行い、利用者の状態を確認しながら退所後の生活につなげていきます。
介護医療院の役割と特徴
介護医療院は、長期的な療養と介護の両方を必要とする方が入所する施設です。
食事や入浴、排泄などの日常生活上の介護に加えて、医療的な管理やケアを受けながら生活します。
医療を提供する機能を持ちながら、利用者が長く生活する場所としての役割もあり、看取りにも対応します。
施設サービスは、同じ入所型のサービスでも目的が異なります。介護老人福祉施設は生活を長期的に支えること、介護老人保健施設は在宅復帰を支援すること、介護医療院は長期療養と生活を支えることが大きな特徴です。
地域密着型介護サービスの種類と特徴
地域密着型介護サービスは、利用者が住み慣れた地域で生活を続けられるように支えるサービスです。
原則として、事業所や施設がある市区町村に住んでいる方が利用します。小規模な事業所や施設が多く、地域とのつながりを重視しているのが特徴です。
訪問系サービス
地域密着型の訪問系サービスは、利用者の自宅を訪問し、日中や夜間の生活を支えるサービスです。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、訪問介護と訪問看護を組み合わせながら、日中・夜間を通じて利用者の生活を支えるサービスです。定期的な訪問に加えて、必要に応じて随時対応も行います。
夜間対応型訪問介護は、夜間帯を中心に介護職員が自宅を訪問するサービスです。定期的な訪問のほか、利用者からの連絡に応じて必要な支援を行います。
通所系サービス
地域密着型の通所系サービスは、原則として事業所がある市区町村の住民を対象に、日帰りで介護や活動支援を行うサービスです。
地域密着型通所介護は、定員18人以下の小規模なデイサービスです。食事や入浴、機能訓練、レクリエーションなどを行いながら、利用者の在宅生活を支えます。
認知症対応型通所介護は、認知症の方を対象とした通所サービスです。認知症の症状や状態に合わせた支援を行い、落ち着いて過ごせる環境づくりにも配慮します。
入居・入所系サービス
地域密着型の入居・入所系サービスは、比較的小規模な住まいや施設で生活しながら、介護や日常生活上の支援を受けるサービスです。
認知症対応型共同生活介護は、グループホームとも呼ばれます。認知症の方が少人数で共同生活を送りながら、食事や掃除、洗濯などの日常生活を職員の支援を受けながら行います。
地域密着型特定施設入居者生活介護は、定員29人以下の有料老人ホームなどに入居している方が、介護や日常生活上の支援を受けるサービスです。
地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護は、定員29人以下の小規模な特別養護老人ホームで、日常生活全般の介護を受けながら生活するサービスです。
多機能型サービス
多機能型サービスは、一つの事業所で通い・訪問・宿泊などを組み合わせながら、利用者の在宅生活を支えるサービスです。
小規模多機能型居宅介護は、「通い」を中心に、「訪問」や「宿泊」を組み合わせて利用できるサービスです。利用者の状態や生活状況に合わせて、柔軟に支援を組み合わせられるのが特徴です。
看護小規模多機能型居宅介護は、小規模多機能型居宅介護の通い・訪問・宿泊に、訪問看護の機能を組み合わせたサービスです。介護に加えて医療的な支援を必要とする方の在宅生活も支えます。
居宅介護支援とケアマネジャーの役割
居宅介護支援は、自宅で生活する方が必要な介護サービスを利用できるように支援するサービスです。
ケアマネジャーが利用者の心身の状態や生活環境、本人や家族の希望を確認し、必要な介護サービスを組み合わせてケアプランを作成します。
ケアプランには、利用するサービスの種類や内容、利用回数などがまとめられます。ケアマネジャーは計画を作成するだけでなく、サービスを提供する事業所との連絡や調整も行います。
訪問介護やデイサービス、ショートステイ、福祉用具など、複数のサービスを利用する場合にも、利用者と各サービスをつなぐ役割を担っています。
介護サービスは目的や生活状況に合わせて利用する
介護サービスには、自宅を訪問して支えるもの、施設へ通って利用するもの、短期間だけ宿泊するもの、施設に入所して生活するものなど、さまざまな形があります。
それぞれのサービスは、利用する場所だけでなく、支援する目的や対象となる方、提供される内容も異なります。
必要な介護サービスは一人ひとり異なる
同じ要介護度であっても、必要となる介護サービスが同じとは限りません。
本人の心身の状態や生活環境、家族の状況などによって必要な支援は変わります。訪問介護やデイサービス、ショートステイ、福祉用具など、複数のサービスを組み合わせながら生活を支えることもあります。
施設への入所が必要になった場合にも、長期的な生活を支える施設、在宅復帰を目指す施設、医療と介護を受けながら療養する施設など、目的によって選択肢は異なります。
介護サービスごとの特徴を知ることが大切
介護サービスは種類が多く、名前だけでは違いが分かりにくいものもあります。
まずは、訪問・通所・短期入所・施設入所・地域密着型など、大きな区分から全体像を知ると、それぞれのサービスの役割を理解しやすくなります。
この記事では主な介護サービスを一覧で紹介しました。詳しい利用条件やサービス内容、特徴については、各介護サービスの解説記事で紹介しています。
気になるサービスがあれば、各サービス名から詳しい内容を確認してみてください。
